アート思考で事業創出 凸版印刷

更新日:2020年12月27日



創造性豊かな人材育成を目指して、アート思考に注目したのが印刷大手の凸版印刷だ。凸版印刷は「これまでの人財開発体系で新しい時代の新しい価値を創造する人財が果たして育成できるのか?」という問題意識から、次世代型の人材教育のあるべき姿を調査・研究・検証することを目的として、2017年に「人材開発ラボ」を立ち上げた。


同ラボでは、2019年5月から京都大学と共同研究を開始。これまでにない新しい価値を創造するために、アーティストの作品制作の過程における思考プロセスをビジネスにも応用できないかという発想からスタートしたプロジェクトだ。


選抜課長層を対象に、アート思考を導入した1泊2日の研修プログラムを同年から計4回実施、合計約100名が参加。研修では約100の事業プラン(2020年2月末時点)が提出されたが、今までのアプローチでは絶対出てこないようなユニークな発想が盛り込まれたプランが続出したという。


同社人財開発センターの巽庸一朗センター長は「企業で働く社員達は、今、効果、効率を常に求められ、計画利益の達成に追われながら日々を過ごしています。そのプレッシャーから、一時的にでも社員を解放し、自らの主観で、自由に発想させることで、本来、人、それぞれが持っている豊かで美しい独自の感性、ユニークな発想を引き出すことを狙いとしています。そして、そこから、新しい時代の価値創造を実現することを目指しています」と説明する。


京都大学大学院総合生存学館の土佐尚子特定教授の監修のもとで、アート思考のプロセスをフレームワーク化。2020年6月には、「アートイノベーションフレームワーク™」として発表した。



同フレームワークは、アーティストが作品を生み出すプロセスを①発見(主観と好奇心で自分が面白い、美しい、価値があると信じられるものを発見、特定する。顧客の課題発見ではなく自身の主観、興味、感性に基づくところが特徴)、②調査(第1段階で特定した「対象」について、類似のものや考え方の有無、独自性、ユニークさなどを検証。歴史的に見ても類似のものがないことを確認することが重要であり必要条件となる)。③開発(特定された対象に対して自分オリジナルのものにするための手法などを検討、検証。新規性も確認)、④創出(アウトプットを創出。これまでに見た事がないもの、誰も表現したことのないものであることが必要条件となる)、⑤意味づけ(他者にも理解できるように、最後に、理由や意味を言語化し、評価を世に問う)――の5段階に分けてビジネスに応用しやすい形とした。

 

凸版印刷は、持続可能な成長を続けるために、顧客の期待に個々に応える「受注型ビジネスモデル」から、課題を解決するだけでなく、期待を超えた製品やサービスを提供する「創注型ビジネスモデル」への変革を推進。アート思考は変革を支える重要なツールとなりそうだ


凸版印刷と京都大学、アート思考による新手法開発で人財育成を支援(2020年6月)



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