観察力を鍛える! あなたの知らないモナリザ

更新日:2020年11月28日



経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによれば、経済成長をドライブさせるイノベーションの本質は、アントレブレナー(起業家)による「新結合」にある。つまり、まったく新しい何かを創出するのではなく、 すでにある要素を「組み替える」ことによってこそ、 停滞している経済をブレークスルーできるというわけである。このようなイノベーション観は、マクロ経済や企業経営のみならず、あらゆる型のビジョン思考に当てはまる。イノベーションにはアーティスト的な妄想が必要だが、これはまったく別の独創的なアイデアをつけ加えることではない。そこに新奇性を生むうえで肝要なのは、その妄想が持っている要素に「組替」を

与え、「新結合」を起こすこととされる。


これまでの発明/発見を分析し、新しいアイデアの生まれる過程を研究してきた早稲田大学EDGEプログラム講師の三原康司氏によると、「アイデアは自分の持っている知識と経験をもとに生まれる。人によって様々ですが、持っている知識とこれまでの経験をいろいろと組み合わせて考え、斬新なアイデアを考え出す」という。


ただし、こうした新しいアイデアは、手持ちの知識や経験が少なければ、生まれる確率も減る。


脳で処理する情報の7割以上は視覚情報から入るため、観る能力の低い人はどんなに論理思考やプレゼンテーションに優れていても知的な成果を生み出すことはできない。インプットが少なければどんなに処理能力や出力能力を高めても何も出てこないということになる。これまでビジネスの世界ではプロセスが重視されてきたが、インプットを同時に増やしていかなければ、良質なアウトプットは生まれないということだ。

目から得た情報のほうを記憶している率が高い

インプットを増やすには観察力を高めるのが一番効果的だ。ビジュアルの重要性については、様々な研究がされている。例えば以下のような研究成果が知られている。


  • 脳の約50%がビジュアルプロセスに関与している

  • 感覚受容器の70%が目にある

  • 人は0.01秒で情景を認識することができる15F15F

  • 人は耳で聞いた情報を3日後に記憶している割合は10%だが、目で見た内容は35%記憶している


観察力を鍛えるにはアートは効果的な対象となりうる。


エール大学の研究調査では、医大生に対して、アートを用いた視覚トレーニングを実施。この結果、皮膚科の疾病に関する診断能力が 56%も向上したことが報告されている。直接的な疾病に関する診断能力だけでなく、全般的な観察能力、特に細部の変化に気づく能力が10%向上したことも明らかになっている。



参考資料


三原康司(2017)『偉大な発明に学ぶ アイデアの作り方 思考展開ワークショップ』日経BP社


Mereb, EN.& Hoehn, K. (2007). Human Anatomy & Physiology 7th Edition, Pearson International Edition


Semetko, H. b Scammell, M. (2012). The SAGE Handbook of Political Communication, SAGE Publications


W. Howard Levie Richard Lentz (1982). Effects of text illustrations: A review of research


John Media(2014). Brain Rules. Vision trumps all other senses


Jacqueline C. Dolev MD, Linda Krohner Friedlaender MS, Irwin M Braverman MD, (2001)「Use of Fine Art to Enhance Diagnostic Skills」

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