top of page

アートで新聞が変わる ザ・ニューヨーク・タイムズ

更新日:2020年12月10日



2020年3月26日、新型コロナウィルスの感染拡大が世界的に拡大、米国においてもロックダウン(都市封鎖)に踏み切る地域が増える中、米労働省は前週の新規失業保険申請件数が過去最多の328万件に急増したと発表した。

その翌日のニューヨーク・タイムズの1面。これまでの新聞のレイアウトの常識を破る形で、失業保険申請件数の急上昇を示すグラフを掲載、大きな注目を集めた。


紙の新聞は、いわゆるネットメディアの普及が進むにつれ、その影響力が低下してきたとされる。米ピュー・リサーチ・センターによると、米国における2018年の新聞の発行部数(平日、電子版の有料読者含む)は2855万部となり、2000年に比べて半減した。広告収入ベースで見ると71%も減ったという。

しかし、ニューヨーク・タイムズは、紙の新聞でしか打ち出せないインパクトを追求したのだ。

そして2020年5月23日。またも衝撃的な紙面が話題を呼んだ。1面の見出しは

「米死者、10万人に近づく 計り知れない喪失」。その見出しの下に、新型コロナウィルスの感染によって亡くなった1000人の氏名が掲載された。

こうしたニューヨーク・タイムズの取り組みに対して、2020年の「Innovation by Design Award」が贈られた。同賞は、ニューヨークに本社を置くマンスエト・ベンチャーズ社が発行するビジネスメディア「ファスト・カンパニー」がイノベーティブな企業を毎年選定。

ニューヨーク・タイムズの編集主幹ディーン・バケット氏はファスト・カンパニーとのインタビューで、「紙の新聞は永久に残るため、間違いなく最も強力な証拠となる」と語り、紙の新聞のデザインを重視していく姿勢を示した。

ニューヨーク・タイムズは、2020年4~6月期の電子版の購読料やデジタル広告などによる「デジタル収入」が紙媒体関連を上回るなど、デジタル化を推進するメディアである。しかし、バケット氏は新聞においてデザインはテクノロジーと同様、ますます重要になるとも語っている。

 

参考サイト



0件のコメント
記事: Blog2 Post
bottom of page